廿日市港~志布志港 初めてのシングルハンド回航記

2012年 初めてのシングルハンド回航記

・第1日 廿日市港~平郡 2012 年4月13日
天候 曇りのち小雨 38マイル レポート八木
出港準備に 約 2 週間費やし、ついに出港の日となった。最後にライフライン、非常用ラダーの取付を行い10時廿日市桟橋を離岸した。5ノット強で快調なスタートである、ところが広島はつかいち大橋通過後、間もなく大きな警告音が聞こえだしたので測深器をチェックしたが測深器の深さは問題なくこちらの警告音ではない、よく見るとエンジン水温計の警告音であった。警告音がうるさいのでエンジンを停止し渡海さんへ連絡。少しエンジンを冷やしてからエンジンを再始動し、近くの桟橋へ着岸した。すぐ渡海さんがきてくれて乗船して廿日市港を航行速度で試運転を行い、見送りをして頂いて再度 11 時頃に廿日市港を出港した。宮島は東側を通過し、大畠への最短コースを航行する事とした。岩国海兵隊基地沖の航行禁止区域のブイの近くを航行、近くで海上自衛隊の世界に誇る水陸両用飛行機が着水訓練を行っている。着水時と飛び立つ時水しぶきがすごい。

雨が降り始めたので微速にして雨対策の為キャビンへ入った。合羽を着てコックピットへ戻ったらすぐ横に岩国の水上警察艇が、無人の不審船と思ったのか双眼鏡でこちらを見ていて、素早く接近してきた。船名、母港、氏名の質問の後、「たも網」を差し出され、船検と海技免許証を「たも網」の中へ入れるよう指示有り。しばらくして次回検査予定日のシールが貼ってないので、貼るように一言あり 無事開放された。約30分費やし最短コースを取ったのが仇となった。17時頃大畠の瀬戸を通過 引き潮に乗ったが薄暗くなり平郡港の近くで航海灯をつけ 港へ着岸したのは暗かった。(19 時半頃着岸)

・第 2 日 平郡~佐田岬 2012年4月14日 天候 曇り 34マイル
本日は四国の佐田岬へ向け7時半頃出港した。八島の東側を通過した辺りで一面に白波が見えるように成り、次第に風も吹き上がってきた。ドンドンと音を立て滑っている。しばらくすると今度はうねりを伴いドド-ンと大きな音を立て、右舷側はデッキを波が洗うようになった。バウが風と横波で大きく振れ、自動操舵が忙しく動いている。2ポイントリーフを考えたがこの状態でのデッキ作業は危険と思い、1ポイントそのままとし風を 1/3 近く逃がしながら走る事とした。それでも速度は7~7.5 ノットである。波は2.5m程度であった。佐田岬の近くになり波は落ち着いてきた。11時半頃 佐田岬を回り込み正午に北よりの風に押されピタリと上手く岸壁に着岸できた。
明日はこの強風の状況では離岸が出来るかな、と思いながら午後はゆっくりとしたが、本日の疲れは取れそうもなかった。

・第 3 日 佐田岬~尾浦漁協 2012年4月 15 日  天候 曇り 35マイル
本日は外洋の航行となる。気合を入れ 6 時にエンジン始動、出港準備に取り掛かかった。しかしまもなくエンジン停止、セルを回しても始動しない。師から教えてもらったエアー抜きを行い始動した。以前、エアー抜きの練習をした時のネジの締め付けが不十分だったと推測される。「ほっと」したのもつかの間、今度は警告音が聞こえた、確認すると水温計である。エンジンを停止してウォターポンプを点検する事とした。インペラの磨耗はほとんどなかった。ハンドルを付けでエンジンを廻してみるとインペラの軸が滑っているので予備品と交換した。蓋の締付けが不十分なのかパッキン部から少量漏水がある、再度取り外し接触面を磨きパッキンにグリスを塗って取り付けてみたが改善しなかった。航行に支障ないと思い、更に問題が発生しないうちに出港した。2時間半遅れの9時頃の出港となった。
朝の天気予報では2mの波との事であったが 1.5m程度で程よい風で穏やかな海であった。津久見の保戸島を見ながら南下佐伯の大島沖を通り 16 時頃尾浦漁港の入り口に付きセールダウン、生簀に注意を払い入港 16 時半頃漁船と漁船の間に着岸した。立派な漁港であり水深も十分あった。
岸壁で魚釣りの人がいたので舫い綱を取ってもらった。うねりが僅かに入り舫い綱が泣く、周りの漁船をみたら舫い綱を緩くしてある。
舫い綱を緩くしたら静かになった。魚釣りの人の話では奥の小型船用停泊場所は浅いとの事であった。
また近所の方の話では昨年も1隻ヨットが入港したとの事であった。

・第4日 尾浦漁港~細島港 2012年4月16日   天候 曇り 36マイル
朝起きたら活魚用の大型トラックが海水を積み込んでいた。7時に出港準備にかかった。 漁船が港の入り口の生簀から魚を揚げている。 8 時頃に出港した。本日はうねりが 2~3mある。沖合い5マイル程度で航行となり九州本土が目視できるので非常に楽である。追い風の為少し進路を変えながら航行する事とした。白波が立っている、航跡を確認すると予定航路と多少ずれてくるので自動操舵の修正が頻繁となった。風が強いので風を逃がしながら航行した。深島沖合い~島浦島を通り細島へ向かう。港の入り口が判り難いのでパソコンの海図チェツクを行う為、チャートテーブルに頻繁に行く、予定航路に沿って入港しようとしたが、目の前に生簀が群がっている。北側に回りこみ細島港に 15 時半頃着岸。
近くの大きな商業施設や、細島港の町並みを散策していて地元の方と長時間会話していたら方言が出て、宮崎弁が懐かった。夜になり強風となり雨が降り出した。

・第 5 日 細島港~宮崎港 2012年4月17日  天候 曇り 36マイル
7 時出港 港を出ると うねり 1.5m 風は6m程度で穏やかな海である。本日も九州本土を目視しながら南下した。順調に進みシーガイヤが見えてきた。しばらくすると大きなフェリーも見えた。宮崎港は間近!海図を見ながらゆっくり入港、宮崎港の奥へ、途中コーストガードとすれ違い 14 時半頃製氷工場の近くに着岸した。ヨットは奥が便利がよいとの事で夕方にタラップのある奥へ移動した。宮崎の繁華街まで歩いて行けるとの事であったが、休養の為、体を休める事とした。繋留場所に空きがあり寄港地としては良港であった。

・第 6 日 宮崎港~油津港 2012年4月18日   天候 曇り 26マイル
8時出港 港をでると 波2m 風は7~8m程度である。陸地に目標物らしい物がないのでGPSで航路を確認しながら南下、順調に進み青島沖を通過し 13 時半頃油津港に着岸 着岸した岸壁の下がえぐれており満干で船体や手摺に損傷を受けそう。潮汐の高さ関係を確認したらぎりぎりの為、横アンカーを打ち繋留する事とした。出港前に急遽製作した簡易ハシゴ(3m)が、ここ油津で初めて乗り降りの為に活躍した。

・第 7 日 油津港~志布志港 2012 年4月19日   天候 曇り 33マイル
7 時出港 波および風は昨日と同じ状況で、油津港の沖合いに出たらすぐ都井岬が見えてきた。都井岬を回り込めば目的地である。ところが都井岬を回り込もうとするが、岬の海底地形と海流や風向きの為か、波の様子が変わってきた。バウ(舳先)が上下に激しくピッチングし速度が落ち、舵もききにくくなった。 10 時半頃やっと都井岬を回りこみ海面が静かになった。それからは志布志湾を西に順調に進み、ビロウ島の南側を廻り込み、志布志港の最南端の防波堤から入港し、一番奥の岸壁に 13 時頃に無事着岸した。 (所要日数 7 日間 航行距離 238 海里)

この度の回航では佐伯帆走協会の方々に大変お世話になりました。書面をお借りいたしましてお礼
申し上げます。今後共よろしくお願いいたします。

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