5 月 1日(火)五日目 天候:晴れ 風:4~5m 壱岐島印通寺港~18マイル~鷹島阿翁浦免港
今日も快晴で清々しい朝を迎える。昨晩は食べ過ぎたので、朝食は船内で焼きおにぎりとお味噌汁で軽く済ます。今日の航海は18Mマイル・3時間くらいなので、少しゆっくりすることになった。出港までの間近くを散歩していると、港に面して一際目立つ建物「マリンパル壱岐」(Tel 0920-48-5800)が開店していた。観光施設かなあ?昨日は閉まっていたから様子が分からなかったが、1階は市場のようなお店で、2階に図書館が併設されているというユニークな組み合わせ。今朝は早くから地域の方々が軽トラでやって来て、お魚や野菜お弁当など自家製の品をどんどん運んで並べている。置いた端から、待っていましたとばかりにお爺ちゃんお祖母ちゃんが買って行く。その後は立ち話に花が咲き、印通寺港マルシェはとても微笑ましい光景だ。そうだ、ここでお昼を買って行こう!手作りお寿司&お蕎麦の弁当@380円を人数分買って船に戻った・・・早起きは三文の徳!
0930 鷹島を目指し出港、コースは真南。西の風、風速4~5m。昨日までの強風でうねりが残っているが、アビームなので叩かれず快適に進む。今日の玄界灘は私の許容範囲内なのでほっとする。途中、馬渡島(まだらじま)を左舷に見て通過。馬渡島は佐賀県最西端で人口500人の小さな島だが、一番近い陸地から 7〜8 ㎞はありそう。ホントに馬で渡れたのかなあ?と、思っているうちに鷹島と黒島の間の黒島瀬戸に差し掛かる。海図には無数の浅瀬や岩礁があり、鷹島の西側を大きく回り込みながら阿翁浦免港を目指す。初めて入港するので緊張するが、今日は天候が穏やかでよかった。
1230阿翁浦免港入口南側、海上屋台「三軒屋」西側に着岸した。鷹島(たかしま)は伊万里湾口にあるが、長崎県松浦市に所属する人口 2500人の島。さらに複雑で唐津市に橋が架けられている。島というより街から遠く離れた最果ての地という感じ。歴史的にも2度の元寇に合い、元寇終焉の地だそうだ。今回は休館日で行けなかったが、「鷹島歴史民俗史料館」(Tel 0955-48-2744)には鷹島周辺に沈んだ元寇の遺物が展示してあるそうだ。まさに戦いと交流の水際だった地。
午後はのんびり船内で、杉山くんセレクトの映画DVD鑑賞することに。「綺麗なお姉さんが出演するよ!」の甘い言葉に誘われ視聴。ところがゾンビが山ほど出て来るホラー・ゴミ映画。「何で元寇終焉の地でゾンビの戦いを見なきゃなんないの!」
鷹島への今回の目的は、海上屋台「三軒屋」(Tel0955-48-3251)。港に浮かんだ筏の上に建物を造り、地元の漁師さんが居酒屋を営んでいる。これって法的に許されるの?ってくらい大胆なお店。勇敢な鷹島島民はこれくらいでは驚かないか。店内は想像以上に広く海上の景色も楽しめる。店主の趣味なのか30年前のヒット歌謡曲が流れていて懐かしい。事前に予約していて正解だった、休日の夜は予約が無いとやってないそうだ。「イカはありますか?」最近取れなくなったと聞いたので確認したら、生けすに人数分あるそうだ。迷わず全員「イカ刺し定食」@1,980円を注文。透き通った新鮮なイカ刺し、揚げたてのゲソ天を、貸し切り状態で堪能した。意外なところでイカ刺しが食べられ感激した我々は、明日のお昼まで予約してご機嫌でヨットに帰還、海上屋台の隣の海上で2次会を楽しんだ。
5 月 2日(火)六日目 天候:晴れ 風:3~4m 鷹島阿翁浦免港~12マイル~ 平戸港
昨晩、酔った勢いで本日の予定を変更。鷹島の南、殿の浦港に 立ち寄るのを止めて、昨晩イカを堪能した海上屋台「三軒屋」にお昼を予約した。朝食を抜いて昼食に備える。1100開店と同時に隣のお店に移動。お店の看板メニュー “おとこメシ”@850 円を注文した。“おとこメシ”とは、海鮮漬け丼にゴマだれを掛けていただくオリジナルレシピ。最後にだし汁でお茶漬けにして二度楽しめる。海鮮とゴマだれ?と思っていたけど、これが意外に合う!淡泊な魚の味をカバーしてくれます。あ〜あ“大盛り”@1,150円にすればよかった・・・ゴマだれが苦手な人には “おんなメシ”@850円もあるそうです。
1230 平戸に向けて出港、コースは南西。西風3〜4 m 18マイル・3時間。クローズホールドだが本日の玄界灘は穏やかで快適、機帆走6ノット超えで航行。黄砂の影響で視界が悪く5マイルくらい。平戸港に近づくにつれ風速が5〜6mに上がり、視界も開けて来た。1530平戸港入港。港奥の西側桟橋に係留した。
平戸港に係留するには、港中央北側にある「平戸市観光案内所」(Tel 0950-22-2015)で手続きが必要だ。係留料は何と無料、さすが観光の街。ただ事前予約はできなくて、当日桟橋が空いていれば係留可能とのこと、早めの入港がお勧めです。桟橋の目の前にガソリンスタンド、スーパーマーケットがあり、観光案内所にバスセンターが併設されている便利な場所だ。クルージング泊地の7つの要件、桟橋・トイレ・風呂・食事・買い物・燃料・公共交通の全てが揃う港は珍しい。唯一遠いのがレンタカーだが、バスで15分の平戸口桟橋まで行けば迎えに来てくれる。
「ハッピーレンタカー」(Tel 0120-149-605)
1630 港北側の岡の上にある「ホテル旗松亭」(Tel 0950-22-3191)の日帰り温泉に出掛ける。大きな内風呂もあるが、港を見下ろせる屋上露天風呂がお勧め@600円。
1800夕食は、桟橋近くの生けす居酒屋「大徳利」(Tel 0950-22-3180)に予約。活ひらめの刺身が美味しいお店で、運が良ければうちわエビが食べられる。ひらめ御膳1950円などの定食もあるが、今回は一品料理をいろいろ注文した。活ひらめの刺身、すり身の天ぷらが美味だった。飲んで食べて一人3,000円とは驚きの価格だ。
ヨットに戻りいつもながらの二次会でだらだらと、平戸の夜を楽しんだ。
5 月 3日(水)七日目 天候:曇り・一時雨 風:3~4m 平戸島・生月島 終日観光
今日はレンタカーを借りて平戸島と生月島を終日観光の予定。朝は船内でゆっくり和定食を頂く。日野さんはここで下船。バスで佐世保へ向かい、JRで博多経由広島までの帰途に着く。平田くんも同じバスで平戸口桟橋までレンタカーを取りに行く。0930平戸中心部を車で出発し、まずは生月島(いきつきしま)へ向かう。生月島は平戸島の北西にある島で、1991年に生月大橋が開通してようやく陸路で行けるようになった。その生月大橋を渡り、まずは平戸市生月町博物館「島の館」(tel 0950-53-3000)@500円へ到着。
「島の館」は、見晴らしの良い丘の上に有り、小さな島にしては立派な施設で、入口で鯨のモニュメントや大型漁船のプロペラが出迎えてくれた。中に入ってさらにビックリ、江戸時代盛んだった捕鯨のジオラマ展示と、大きな鯨の骨格標本が大空間にぶら下がっている。「鯨組 取りもとったり2万頭」ここは江戸時代最大規模の鯨組、益冨組生月の本拠地だったのだ!それにしても手こぎ船で鯨の群れに挑む勇猛果敢な鯨漁。その後益冨組は壱岐をはじめ西海各地の漁場に進出し、文政年間(1818年頃)には、5つの鯨組を経営するまでになり、西海のみならず日本一の規模を誇る鯨組へ発展。益冨組は享保10年から明治6年までの間の142年間も鯨漁を続け、最盛期には3千人以上の人々が働いていたそうだ。この最果ての地で、全国に誇る産業が発展していたことは知らなかった。2階には隠れキリシタンに関する展示もあり、自然豊かな生月島に激動の歴史があったことを垣間見た。
お昼になり生月大橋の北側にある舘浦港に移動。立派な施設が整った大型漁船の基地港だ。今日は港祭りということで、地域の人々が大勢集まっている。ここで地元の有名店「大氣圏」( tel 0950-53-3130)で“あごだしラーメン” @750円を頂いた。スープはあっさりした醤油味だが、あごだしの旨味がたまらない。本日も運転役、皆がビールを飲むのを恨めしそうに横目で見ている私でした。お隣に舘浦漁協直営のお店があり、取れたてのお魚がビックリするくらい安い!島の周辺はどこも豊かな漁場で、大敷網(大規模定置網)地元では大敷と呼ばれている大きな箱状の網が7カ所も仕掛けられていて、網の中に入り込み泳ぎ回っている魚を早朝と午後の2回生きたまますくい取るそうだ。お魚の値段に納得。この生月島と平戸島の海峡は、五島列島に行くたびに通過するだけであったが、今度は寄港する楽しみが一つ増えた。
平戸島に戻り、今度は島の最西端にある宮ノ浦漁港まで小一時間車を走らせる。宮ノ浦漁港は自然の地形を生かした良港で、2重の堤防に守られている。五島列島まで目と鼻の先、船溜まりには船長の長い船が多く、この辺りの波長を伺わせる。立派な民宿もあり多くの瀬渡し釣り客で賑わっていた。
平戸中心部への帰り道、一時雨に遭ったが、誰の行いがよかったのか車での移動中だったので傘がいることもなく、快適なドライブを楽しんだ。車のあるうちに食材などを補給し、夜は早めの船飯に。ガーリックたっぷりステーキとシャンペンをメインに、買ってきたお総菜などを頂いた。今日も宴会は続く・・・・・
5月 4日(木)八日目 天候:晴れ 風:2~3m 平戸海の駅~平戸田平漁港~鷹島~28マイル~呼子港今日の航海は平戸港~呼子港28マイルと近いので、朝は出港前の船内でゆっくり洋定食を頂く。平田くんがレンタカーを返しに平戸口桟橋まで出発。それを迎えに1000出港、対岸の平戸田平漁港に向かう。平田くんは平戸口桟橋でタッチアンドゴー乗船。1030進路を北東に向け呼子港に向かう。本日は晴天で視界も良く海も穏やか、絶好のクルージング日和だ。途中、予定変更で立ち寄らなかった鷹島の南、殿の浦港を沖より確認しながらクルージングを楽しむ。昼はちらし寿司とざるそば弁当。平田くんがレンタカーを返しに寄った、平戸口桟橋「平戸瀬戸市場」( tel 0950-21-1977)で仕入れてくれていた。ここも鮮魚が安く豊富だそうで、朝早くから多くの人が魚を求め佐世保あたりからやって来ていたそうだ。
のんびりした航海で予定通り呼子大橋を通過し、1430呼子港に到着。2010年に出来た観光施設「呼子台場みなとプラザ」北側の港に停泊した。ここには日帰り温泉「呼子台場の湯」(tel 0955-82-2111)@510円と、“イカの活造り”の有名店「河太郎」(tel 0955-82-3208)が併設されているのが魅力だ。ゴールデンウイークはいつも混み合うので、早速、上陸して杉山くんが「河太郎」へ予約に走った。何と、本日は4時間待ち!すでに活造りは予約で売り切れとのこと。慌てて他にも数店電話してみるが、どこも返事は同じ。あ残念。でも鷹島で“イカの活造り”を食べていて正解でした!
ゆっくり温泉につかり、気持ちを切替えて美味い物探しに出掛ける。呼子中心部のお店は“品切れゴメン”でどんどん閉まり始め、“イカの活造り”はもはや夢となった。夕刻、対馬を旅行している山口さんが、ここ呼子で乗船する予定なので、何とか地元のスーパーで食材を調達した。1800山口さん到着。温泉に入ってっている間に夕食の準備を完了。本日のメニューは手巻き寿司、刺身、練り物、チキンソテー。“イカの活造り”こそ無かったが、山口さんのウェルカムパーティーは盛り上がった。
ゼーファーラーは2人のシェフがそれぞれの得意分野で腕を振るってくれるのと、恐ろしい臭覚で現地のおいしい店を探し当てることは最高。出航さえ手伝えば、ビールを飲んで朝寝をさせてくれ私にぴったり。ただ電気系統がいまいち、魚探は出力が足りないのか時々表示をしなくなり、レーダーもジェネレーターの出力が足りず常時は使えないし、感度 解像度も悪い、ニューPECは作動が不安定で使いにくいところがあり、まだ不完全なソフトウェアですね。
<その3>へ続く
コメント