2013年 四国一周クルージング<その1>

2013年 四国一周

4月27日~5月6日 10日間 延489マイル
第1日目 4月27日(土) 廿日市ボートパーク~70M(海里)~佐田岬漁港
天候:晴れ 波:0.5m 風:1~6m/sec レポート:渡海 雄二
昨夜の激しい雷雨が嘘のように穏やかな朝を迎えられた。前泊組は、渡海、山口、見送りの杉山君が早々に現れて一緒に日の出を拝み航海の安全を祈る。山本君に続き、平田君が奥さんと受験を控え今回はクルージング不参加の与理君が、食料を運んで来てくれ、出発地メンバーが揃ったところで 0600 時出航、心弾む久しぶりのロングクルージング。エンジン回転1,800、油圧5.7、水温75℃、東の微風をジブセールに受けて6.5ノットにて宮島瀬戸を通過した。
その間サンドイッチとコーヒーで朝食を済ませ、食後の運動に船内よりゴムボートを運び出しデッキの上にセットした。おかげでアフターキャビンが少し広くなりバッグなどの置き場が増えた。続いて転ばぬ先の杖ならぬ、両サイドのデッキにワイヤーのライフラインをセットした。

廿日市ボートパークの日の出

前日の夜、電子海図にコース設定を仕掛けたが新しいバージョンのせいか、パソコン自体の不具合なのか動かなくなった。予備のパソコンも動かそうとしたがこちらも調子悪く立ち上がらない。試しに一つ前のバージョンに入れ替え、設定し直したら動くようになる。ちょっと冷や汗かいてしまった。
1000 時大畠瀬戸通過、向かい風6m、左手に大島商船の生徒たちがシーホッパーで頑張っているのが見える。1100時下荷内島横を通過しながら早めの「肉うどん」の昼食、美味しいうどんご馳走様でした。1600 時佐田岬漁港入港 海底をチェックするとバラストが干潮時に当る恐れあり、ゴムボートにて横アンカーを打つことにした。作業終了後、早速 平田事務長が民宿『大岩』に食事と風呂の予約を入れる。美味しいと人気が出たせいか、我々が飛び込み客のせいか、料理の単価が以前より 1,000 円くらい上がっていた。展望風呂に入れてもらい、我ら 4人だけで別館にて食事。第一日目のクルージングの無事と、明日からの平穏なクルージングを祈って乾杯! 別館はインターホーンが付いていないので追加のお酒などは携帯電話連絡、運搬が道路を挟んでの運搬ために、仲居さんには気の毒でした。艇に帰ってからの二次会は食べ過ぎていたために盛り上がりなく終り、明日に備えて早めの就寝・・・・・・・・・

佐田岬漁港、後ろに見えるビル民宿「大岩」
本日の夕食
漁協の冷蔵庫か?

第2日目 4月28日(日)佐田岬漁港~65M(海里)~土佐清水漁港
天候:晴れ 波:0.5~1.0m 風:2~4m/sec レポート:平田 欽也
佐多岬漁港を0600時に出港。65マイル南下して土佐清水港を目指す。本日も快晴で海も穏やか、波高0.5mと瀬戸内海にいるようだ。朝食はゼーファーラー特製洋定食。航行しながら食べやすいように、バケットサンドとオニオンコンソメスープを作る。

船上で至福の時をあじあう平田君

ワッチの合間は読書をしたり昼寝をしたり、それぞれの~んびりした時間を楽しむ。1100 時鹿島沖合いでランチタイムと決め込む。メニューはニンニクたっぷりのプルコギ丼とギョウザスープ。船上では、皆で食べればニンニクなんて怖くない。誰を気にすることなくボリューム満点のランチをたいらげた。午後も波風かわらず穏やかだが、艇速が連れ潮に乗ってどんどん加速し 9ノットまで上がった。お陰で予定より早く土佐清水沖に到着し1600時前に入港することができた。土佐清水港は足摺岬の付け根の北西にあり、天然の地形が生かされた良港だ!
太平洋に飛び出ている足摺岬の荒波から近いのに避難港として守られている。入口あたりの山々は切り立っていて港は全く見えない。洗岩を回り込み恐る恐る近づいて見た。眩いような新緑に覆われた岬を縫うようにして、緩やかに曲がりながら港へと進む。すると突然、多くの大型漁船と最新の水揚げ施設が出現する。ここは秘密基地のような漁業基地である。このような港ではプレジャーボートは嫌われるものだが、親切な漁師さんの誘導で突き当たりにある給油施設の前の護岸に舫うことができた。大型のモータークルザーもフィッシングの拠点としてよく訪れているようだ。護岸に給水設備や公衆便所が完備、近くには大きなスーパーマーケットもあり、クルージングの補給港としては最高の港だ。瀬戸内とは大きく船型の異なる大型漁船を覗いてみると、デッキに、長さ7mくらいの樫の木の棒に色取り取りの網袋が付いた仕掛けがある。その棒をロープで牽引する様になっていて、これってもしかしてクジラの仕掛け???なんて考えていると、気さくな漁師さんが話し掛けてきてくれた。予想は大きく外れ、正解はサンゴ漁の仕掛け!その棒を沖合で底引きして、棒に当たって取れたサンゴが網袋に入るという仕組みだ。サンゴは中国で珍重されており、高額で取引されるとのこと。近年の中国の経済成長で富裕層がどんどんサンゴを購入するので、値が上がり良い収入になるのだそうだ。四国の先端まで来て、中国のバブルの影響があるとは何とも複雑な気持ちになった。

土佐清水港入口
穏やかな海原を機帆走
土佐清水係留風景

夕刻、港近くの煙突から一筋の煙が揚がった。どうも、銭湯のお風呂が沸きました!のサインのようだ。着替えを持っていざ上陸。映画「テルマエロマネ」を彷彿させるような銭湯で、レトロな空間とケロリンの手桶。う~~んたまらなくリラックス。脱衣場には常連さんの手桶がうず高く置いてある。手桶には大阪堺港◯◯丸の文字などがあり、船乗りにとって風呂は何より貴重な場所ということを共感する。少し早いが明るい内に、銭湯の裏筋にある居酒屋『魚田』で一杯やことに。飾らない店内だが、あっという間に地元の家族連れなどで賑わってきた。オーダーの様子に耳をそば立てて聞いていると、今の地元の流行は鰹の塩タタキのようだ。即注文して、鰹のタタキ三昧。他にも清水鯖、イカ、マグロのキモ、ズケ寿司など、お腹いっぱい平らげた。鰹はどうも苦手だった私が、鰹はこんなに美味しいものだったのかと感心した。店を出たのはまだ7時過ぎだというのに皆な千鳥足。いい気分で船に帰ってきてさあ二次会と思いきや、8時過ぎには全員寝てしまいました。あ~幸せ!幸せ!

内部はより懐かしい風情の銭湯

第三日目 4月29日(月)土佐清水~60M~宇佐漁港~12M~高知浦戸漁港
天候:晴れ 波:0.5m 風:1~3m/sec レポート:山口 孝
朝4時に起き皆なを起こさないように<そっと>岸壁に上がり体操をし、身体が柔らかく成ったところで散歩に出掛けて見る。近くの公園の細道を行くが、やたらと暗く一人歩きでは怖いような気がする、神社の参道を抜けると対岸のゼーファーラーが見えてきた。
海に沿った散歩道をさらに国道の方に向かって進むと、ホェールウォッチングの看板、何々ここからもホェールウォッチングできるのだと思いながら辺りを見ると、綺麗なトイレを発見!快適に用を済ませてゼーファーラーの係留場所に帰ると昨日、100 キロのカジキマグロを釣ったと言う三原市から遠征のモータークルーザーは既に出港していた。
0550 時出航 天気も上々波穏やか、宇佐港に向かう。途中クジラの発見に目を皿のようにして見渡すがそんな気配一向になし。平田君の作ってくれた昼食を美味しくいただきながら瀬戸内海の様な穏やかな海を行く。
1500 時 宇佐港の防波堤に接舷、と同時くらいに小学校 2年生くらいの男の子と父親が駆けつけてくれて舫いを取ってくれ、あれこれ情報をもらう。ここ宇佐漁港で、明日のホェールウォッチングの予約を申し込むが、明日は天候不順のため船は出港しないとのこと。ならばと、ここに停泊する意味も無く、急遽12海里先の高知港に向かうことに・・・・・・・・・

バウ(舳先)でワッチの山口氏
宇佐漁港の防波堤の係留風景

男の子と父親によれば、これより南20 海里のところに大きなブイがあって、ここにニタリクジラが住み着いて居り 90%の確立で見ることができるらしく、この様なブイが土佐湾だけでも10数箇所点在していて「黒潮牧場」と言いあちこちの港からホェールウォッチング専用船が出ているとのこと。そのためか我々の通る海域には姿を見せないのだろう。楽に魚が捕れる牧場に居た方が良いはずである。1730時 桂浜すぐ北西裏手の浦戸魚港に入港、浦戸ホェールウォッチングに連絡したがこちらも明日は欠航、港内でウロウロしていると近くの水産会社の若大将が一晩ならばと、艇の置き場所を指示してくれた。ここ浦戸で乗船する「中野君」に渡海さんが連絡、係留したすぐ上の浦戸大橋の上から手を振る中野君を発見し、合流乗船する。

港から見る浦戸大橋
浦戸漁港

廿日市から電車、バスの旅、遠路遥々お疲れさん! 早速 中野君の先導で峠越えし、最寄りの海岸沿いバス路線まで出て、上りのバス停を探すが、下りのバス停しか無い、ウロウロ探していると、野球少年達が監督とともに丁寧に教えてくれ助かった。表示板が風で飛んで棒だけになっていて見つからなかっただけで有った。それにしても監督の指導が良いのだろうスポーツマンらしく礼儀正しい子供達であったのには感心し、清々しい気持ちになった。
路線バスで高知最大の観光スポット「はりまや橋」へ、土産店で皆さん買い物した後、居酒屋『かとう』にて中野君歓迎会。鰹のタタキは勿論、<うつぼ>の刺身、塩タタキ、から揚げと美味しいものをたくさん頂き9時半タクシーで帰還した。

「はりまや橋」で記念撮影
遠視を生かして鯨探しの山口
OPコントローラー胸にワッチ中の山本
「鹿島が浦」東方沖を航行
高知市追手筋 季節料理『かとう』
<うつぼ>の塩タタキ
鰹のタタコと、塩タタキ

<その2>に続く

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