第 1~6日目 4 月 23 日(金) 廿日市港~姫島稲積漁港 70 マイル

2010年 五島列島

第 1 日目 4 月 23 日(金) 廿日市港~姫島稲積漁港 70 マイル
天候:晴れ 風力:0~2 北東のち北西 波高:0.5~1.0m レポート:中鶴睦典

5 時 20 分ハーバー着、渡海さんは既に出港準備を進めていた。程なく欽ちゃんが二人のジュニアと共に見送りにきてくれた。朝早く有難う。5 時 50 分 3 人に見送られて出港。北東の風、早速セールアップ恒例の連休クルージング回航編の始まりです。私にとって久々のロングクルージング、ここ一月は体力増強と料理に挑戦、結果を見ないと分からないが、どちらも少しは成果があったつもりでいる。ランニングで快調に走る。甲島沖でワンポイントリーフこれによりオートパイロッが随分楽に働いてくれる。

大畠瀬戸大橋

大畠の瀬戸を連れ潮に乗り9ノットで 9 時 30 分通過、私が上関に行ったことがないので上関経由で行くことになる。この風で姫島には向かうには少し北に上った方が風も有効に使える。室津半島に沿って大きく右に回り込むと、やがて上関大橋が見えてくる。ここぞとばかりに写真を撮る。海峡の幅150メートル、美しくスマートな橋を通過してすぐ右にある港の中まで案内してもらい係留場所、風呂、トイレなど説明してもらう。港を出て北上し長島の北端、雑石瀬戸を抜けると姫島は西南西へ一直線である。西風を受けクロースホールド一杯で島を目指す。
姫島の稲積漁港に 15 時着、漁協のある岸壁に横付け停泊の了解を願う。堤防でしっかりガードされており、今日の風なら安眠できそう。ここから15分のところにある拍子水天然温泉に向かう、最近リニューアルなったそうで気持ち良い、料金は300円。拍子水とは姫島7不思議の一つでお姫様がおはぐろをつけた後、口をゆすごうとしたが水がなく手拍子を打ったところ水が湧き出たので拍子水とゆうそうだ。25℃の源泉湯と加熱した風呂がある。地元の方達とおしゃべりがまた楽しい。艇に帰り夜は豚鍋をたらふくいただく。

クロースホールドの周防灘
リニューアルされた拍子水温泉
稲積漁港係留風景

第 2 日目 4 月 24 日(土) 姫島~小倉港 53マイル
天候:晴れ 風力:0~2 南西 波高:0.5~1.0m レポート:中鶴睦典

6 時 15 分出港 南西の風を受けて 6 ノット 日の出が美しい、右手の本船航路は大型船が行きかっている。左前方にシーバースが見えてくる、これは海図にも記載されているが今日は大型タンカーが前後、左右をダクボートに固められて、さらに警戒船も出て繋留されている。これでは経費がかかるなあと話しながら後にする。

関門海峡通過 14:00

関門海峡のアプローチは九州北岸に沿って大橋の門司寄りを回り込みそのまま門司側を通行するのがヨットにはいいようだ。九州に近づき潮流を示す電光掲示板が見えてくる、午後 1 時頃が西に転流のはずなのに、表示は E7(東、7 ノット)で何時までたっても変わらない。艇速をぐっと落として潮待ちするも時間ばかり過ぎてゆく。おかしいなあと言いながら渡海さん痺れを切らして7ノットの逆潮に挑、エンジンが唸りを挙げ橋下の激流に突っ込む、巧みな操船で少しずつ前進している、3から 3.5 ノット・・風を頼りにしていたのに橋下では風もなく力にならない、岸を白波が洗い間近で人が見ている。 しかしここを抜けてしまえばぐっと緩やかな流れとなった。セールをダウンしてラットを握り小倉を目指す。関門海峡を通過する早鞆瀬戸を西行しようとする総トン数 100 トン未満の汽船は、原則右側通行の規定にかかわらず門司埼に近寄って航行することができます。その場合、できるだけ門司埼に近寄って航行し、他の船舶に行き会ったときは、「互いに右舷対右舷」で航過することと成っておりますので、門司寄りを航行するが、どうも右側通行の習性で中央寄りになってしまい渡海さんをひやひやさせてしまった。15 時小倉港奥の砂利運搬船の前に繋留。海峡を通る大型船の引き波か、この奥まった入り江で時折うねりを感じる。本日は風呂が遠いので無しとする。レシピを見ながら作った特製カルビ丼を食べ明日は早いので9時過ぎには休む。

第 3 日目 4 月25日(日) 小倉港~呼子港 70マイル
天候:晴れ 風力:0~1 波高:0.3~0.5m レポート:中鶴睦典

5 時15分出港 まだ薄暗いなか出港、右手方向が次第に赤く染まっていく、やがて大きな太陽が顔を出す、美しい日の出にしばし写真を撮る。関門海峡を抜け進路を筑前大島に向ける、今回は c-map 海図の習熟のためパソコンをコクピッツトにセットし航海、チャートとほぼ同じ画面なので慣れれば使い勝手はなかなかよろしい。ただフードがないと画面が見えないのと、防水対策が課題だ。風力発電のタワーが10 数基並んでいるのが左に見えてきた、夫婦だろう二人乗りのヨットと行きかい、手を振って後にする。今日は晴天の微風。芦屋沖、前方に釣り船が10数隻見えた。と その時エンジンがブス、ブス、ブスと力なく停止、話に聴いていたけど海は穏やか、渡海さんすぐに修復にかかり程なく回復。10 時、筑前大島でホームポートで一番の我侭な依頼人の海産物の買い物ため、フェリー乗り場のそばの岸壁に一時立ち寄る。日曜日なので岸壁には釣り人が多い。

関門海峡西出口の日ノ出
パソコンの自作防水カバー

10 時 30 分、風殆ど無し。筑前大島を出港後すぐにエンジン停止。わずかの風をつかんで漂流。2度あることは3度あった。燃料フイルターユニット、燃料系統の配管パッキン交換をし、エンジン起動これで安心。ところが暫く走り海域変更で GPSプロッターのロム切替え中、またまた停止。渡海さん最後の手段、なんと携行ポリタンクから直接燃料を供給、キャビンのエンジン横にポリタンを固定し、燃料ホースがポリタンに突っ込んである。ヒールすると厳しいが今日は平穏。12 時近くになり、玉ねぎを炒めパック牛丼を加えて即席牛丼を作る。GPS も動作 OK となりめでたく食事をいただく。 パソコンの自作防水カバー16時呼子に入港、グラスボート観光船が行きかう。運良くどんがめ丸の左舷に繋留できた。早速、エンジンの点検にかかる。燃料タンクの右舷側は満タン、左舷側は空。複雑な配管系統のようで私には良く分からないが原因が分かったところでポリタン経由から正規の系統に戻し作業完了。
渡海さん今日は一日お疲れ様でした。18時過ぎお食事処「いとう」へ名物イカの活き造りを食べに行く。今日は日曜日、観光客が多いのか、生憎イカは一杯しかないそうで刺身盛り合わせとともに、二人でなかよくいただいた。呼子のイカは噂どおりおいしい。タクシーで「国民宿舎波戸岬」へ行く、丘の上のお風呂は夕日が見えれば最高のロケーション。夕日は残念でしたがいい湯でした。

観光船くじら丸
「どんがめ丸」に横抱きさせて頂く
お洒落で綺麗な公衆便所

第 4 日目 4 月 26 日(月) 呼子港~宇久フィシャリーナ 45マイル
天候:曇り 風力:0~3 南西 波高:0.5~1.5m レポート:中鶴睦典

6 時 40 分お世話になった「どんがめ丸」を後にする。呼子大橋の下を抜け暫く走ると、昨夜お風呂に入った国民宿舎が左手に見える。大きく右に回わり堤防を交わすとセールアップしコースを西に向けポートタックで宇久フィシャリーナを目指す。曇りで少し肌寒いがコクピット全体がドジャーとエンクロージャーで覆われているため、快適そのもの、ずっと風を受けていたら体力をかなり消耗するだろう。我艇にもぜひ欲しいと思う。
平戸大橋の赤い橋脚が 2 本はるか左前方に見えてくる。天気予報で午後から前線の通過で天気が崩れると言うことで平戸経由五島行きを変更。平戸島の北を廻り込み生月島との間に架かる生月大橋に向かう。このころから風が強まり、海峡左側の山から時折ブローが襲う。オートパイロットでは保進が難しく渡海さん操船、緑色のきれいな生月大橋近くでは強烈なブロー、アビームで9ノット。橋を過ぎると島陰を抜けるので風を遮るものがなく強風を予想して気合を入れるが、以外にも波もなく風も弱まり少し拍子抜けであった。やはり精進が良い私が乗っていると違うなー・・・ここから宇久へは一直線はるかに宇久を望む。13 時頃から風も強まり、風の合間をみて港外でセールダウンし 13 時 45 分宇久フィシャリーナに舫う。事前に連絡しておいたので暫くすると係り方がお見えになり手続きを済ます。
広いマリーナに我々一艇のみ、軽油 160 リッター、水の補給を行いしばし休養。渡海さんがピザの焼き方を手ほどきしてくれる。
ここは陸電が使えるのでオーブンの具合がよろしい。小倉いらいこれで2度目、ひときわ美味しい。風が強く小雨の中すぐ上にある宇久シーパークホテルまで石段を登る。目の前に海が広がる絶景の風呂に入り疲れをとる。そこから歩いて 10 分ほどの味処「やまさき」で刺身定食をいただく。

宇久フィシャリーナ:0959-57-2003(停泊料 1,100 円 給水 500 円 給電 500 円)
宇久シーパークホテル:0959-57-3191(入浴料 500 円)
給油:白石石油 0959-57-2191(桟橋まで配達可)
味処「やまさき」095-957-2002(お勧め刺身定食 1,280 円)

宇久フィシャリーナにて
味処「やまさき」の刺身定食

第 5 日目 4 月 27 日(火) 宇久フィシャリーナ~奈摩港 15マイル
天候:くもり 風力:3~6 南西のち南 波高:0.5~3.0m レポート:中鶴睦典

今日は強風が吹く予報なので、しばらく様子を見てから出港することとなる。無理ならこのまま宇久に残る積り。岸壁の上から海上の様子を観察、穏やかである。11 時 05 分出港。小値賀島と野崎島の間は潮流が早く泡立っている。潮の影響で、艇速は 4 ノット弱。12 時頃から風が吹き上がってきた。メイン2ポイント、小さくリーフしたジブ、これ が外洋だ、久し振りに味わううねりと、波頭の飛ぶ様、岩場が低く広がる壷が瀬の灯台が白波に覆われている。このまま南の風が強まれば奈留港まではきついので、急遽、懐の深い奈摩湾に入ることになった。湾入り口右の灯台すぐ近くを通過、左側は水深が浅い。漁船も我々のすぐ近くを追い越してゆく。やれやれとジブセールを巻き、メインセールダウンのため渡海さんはマストへ、そして艇を風上に向けて、と・ここでアクシデント、なんとブームのグースネックがはずれ宙ぶらりんになった。湾の中だがまだ強風が吹いている。とりあえずブームが暴れないよう縛り、奥の港を目指す。さすがにクルージングの達人は何が起きても慌てない。14時着岸。ブームをグースネックに止めているボルトのナットが飛びボルトが脱落していた。ボルトを取替え、ダブルナットで固定。2時間かかった。今回はいろいろ私を歓迎してくれます。一息ついてから町を散策する、誰もいないし店らしきもない、4階建ての立派な校舎が見えた。上郷小学校、がらんとした校庭は綺麗に手入れされている。出会った島の人に尋ねるも風呂はないということ。夜は艇長特製スパゲティーミートソースとスープご馳走様でした。

宇久島 平港入口
奈摩湾 奈摩港係留風景

第 6 日目 4月28日(水) 奈摩港~奈留港 25マイル
天候:くもり 風力:3~5 南 波高:1.0~2.0m レポート:中鶴睦典

私の航海も最後の日となった。今日は午後から天候が急速に悪化する予報である夕方には4mの波の予報。午前中が勝負、海況の状態で入港先を決めることで6時15分出港、湾を出ると昨日の風の大きなうねりが残っている。南の風ぎりぎりの上り、ジブを出すも程なく巻き取る。途中、青方の石油備蓄基地や湾の入り口など説明してもらいながら南下。予報どおりすこしずつ風が力をおびてくる。 留瀬戸の入り口にある灯台を過ぎ、正面にある立神岩に渡海さんが艇を近づけてくれる。海面にすくっと直立する岩塊は神仏にも見える。奈留瀬戸に入りセールダウン。瀬戸は潮があり8ノットで快走。係留予定していた桟橋は強風非難船の予定があり断られたが、これから強風が吹くからと奥の岸壁を指示してくれた。
フェリー乗り場近くの、廃船らしい大型の漁船が2艇槍付けしている岸壁に、横付けする。太いロープで増しもやいを取る。島の人は皆親切で風呂に入りにおいでと皆さん方が誘ってくださる。それに話し好きだ。大潮で水深が心配なので沖出しのためゴムボートを降ろしビームアンカーを打ちと、鉛のモニターの錘を吊るす。南風が強く艇が岸壁から離されるので梯子を使って上陸。
17時 風雨の中、予約していた奥居旅館に向かい風呂にゆっくり入る。6日間の二人旅が終わり最後の夕食を楽しむ。ビールも肴もうまい。気分良く外に出て見ると、すでに風が北に変わっていて、岸壁に戻って見ると強く艇が岸壁に押され、涙滴型フエンダーが潰れんばかりに、しなっていた。二人掛かりでビームアンカーロープを引くが強風に押され引き切れずに、エンジンを掛け電動ウインドラスを使いアンカーロプを締めなおす。強い風の音を聞きながら、良い気分でレポートを入力する。
瀬戸内海ショートクルージング派の私にとっていつまでも記憶に残る航海になりました。ありがとうございました。

奈摩湾出口灯台
久賀島の立神岩
右手の茶色の建物がフェリー乗り場
奥居旅館レストラン部の刺身定食 1,500 円 奥居旅館:0959-64-3135

後続組の初日
第 6 日目 4月28日(水) 自宅から博多まで JR+新幹線+タクシー

天候:晴れ後強風 レポート:山本孝司

会社から帰り、早々に夕食を済ませ 19:41 新岩国駅発新幹線こだまにて 21:23 博多駅到着、新幹線ひかりで先に到着した平田、杉山組と合流する、雨上がりの博多の町をタクシーで博多港まで行きコンビニで明日の朝食と今夜の宴会食材を調達し 23;30 発野母商船太古に乗船、早速 畳み敷きの船室で宴会が開催された。
海は時化ていて乗客350人乗り乗用車44台運搬のフェリー太古(総トン数 1,272 トン/航海速力 18 ノット/全長 87m/全幅 13.8m)も今日はピッチングが激しく、乗客の歩く姿は皆さん酔っ払いの様だ、船室備え付けの洗面ボールもトイレの洗面台や便器の中は嘔吐物で一杯。
博多を出て立ち寄る港々で、到着する前に大きな音でアナウンスが艦内に鳴り響き、その度に目が覚めてしまった。

翌朝もフェリーはうねりを蹴立てて走る

その 2 へ続く

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